イシンホームの冷暖房設備「床暖冬涼夏」と「輻射式エコウィン ハイブリッド」はどちらがいいの?

今回はイシンホームが取り扱っている、冷暖房設備について解説していきます。

 イシンホームでは2種類の冷暖房設備を採用しています。もちろん市販のエアコンで冷暖房設備を取り入れる方も多いと思いますが、イシンホームは換気システムの良いところも取り入れて、上手に空調管理できるような住宅つくりを行っています。

この記事で分かる事
  • 床暖冬涼夏の特徴
  • 輻射式エコウィンハイブリッドの特徴
  • どちらの設備を採用すれば良いのか判断できる

しかし本当に高気密高断熱住宅を建てることができれば、こちらの冷暖房システムは不要であり、一般的な壁掛けエアコンで十分です。

目次

「床暖冬涼夏」と「エコウィン ハイブリッド」双方の仕組み

イシンホームの冷暖房設備は、他社の製品と比べたら安価な製品を取り扱っています。

 そして「床暖冬涼夏」も「輻射式エコウィン ハイブリッド」も、エアコンのようにヒートポンプ式の熱源機使用した冷暖房設備になります。

出典;長府製作所

床暖房は、壁掛けエアコン+床下に放熱器を設置
エコウインは、壁掛けエアコン+室内に放熱器を設置

床暖冬涼夏

 イシンホームの床暖房の正式名称は「床暖冬涼夏(ゆかだんとうりょうか)」と言います。冬は床暖として使用でき、夏場は付属のエアコンで冷房を行うことで、室内を涼しくできることが特徴の製品です。

 床暖のシステムとしては、ヒートポンプ式の室外機を熱源機として、温められた不凍液を放熱器へ循環させて、放熱した熱を床下に設置されたマーベックスの換気システムを併用して、家の中へ循環させるものです。

 床暖冬涼夏の製品は、長府製作所のRAY-4042Xを採用しており、壁掛けエアコン1台と放熱器を複数台で使用します。

出典:長府製作所

 実際には床下に設置されている放熱器から、輻射熱で床を温め床に設置されたガラリから熱気が放出されます。この方式は、一条工務店等で取り扱いされている床本体にホース熱源が組み込まれているものではないので、室内が温まるまでとても時間を要します。

 また、床暖使用時のエアコン暖房は効率が落ちるため推奨されておらず、エアコンで暖房したい場合は、床暖の電源をOFFにしてあげる必要があります。

 当家では床暖冬涼夏を採用しているので、1週間稼動したときの室温や電気使用量を検証した記事を書いています。よろしかったら、こちらもご覧ください。

輻射式エコウィン

 イシンホームが取り扱いしている商品名は、「ハイブリッド輻射式冷暖房」と言います。遠赤外線を利用した輻射熱の特性を活用した次世代の輻射式空調システムです。

基本的には、壁掛けエアコン1台と輻射機器1台の使用になります。2台の設備で冷暖房するからハイブリッドです。

出典:SIソーラー(PDFパンフレット)

 輻射とは空気の対流ではなく、物質を介さずに温度が高いところから低いところへ移動して熱が直接伝わる原理で、冬の陽だまりのあたたかさや夏のトンネル内の涼しさがその原理となっています。

 アルミ製の輻射パネルに「冷媒ガス」または「冷水・冷温水」を流し「放熱器本体」を加温冷却することで「放射」「吸熱」して周辺へ熱を与えたり奪ったりすることで冷暖房を行うシステムです。

出典:SIソーラー(PDFパンフレット)

 エアコンは空調の対流するために微風運転を行うため、冬場のエアコン運転による湿度の低下はほとんどありません。

イシンホーム公式Youtubeチャンネル「輻射式エコウインの解説」

動画再生時間:3分36秒

双方設備のメリット・デメリットを比較

 建物の間取りによって、この冷暖房システムに適した建物なのか、採用が難しい建物かを見分けることができます。どちらが良いのか確認してみましょう。

比較対象床暖冬涼夏輻射式エコウィン
暖かさ・涼しさ放熱器が設置された部屋は暖かい輻射機器の設置された部屋は暖かい
暖まる時間放熱器1時間、床下空間1日以上、室内1週間以上放熱器がメインなので早い
設置場所条件無し間取り次第では設置が難しい
電気使用量消費電力が高い消費電力が低い
本体価格60万円~75万円(放熱器の台数による)45万円前後
致命的デメリット暖まるまでに時間が掛かるので電気料金が高い放熱器の設置された部屋だけの効果

暖かさ・涼しさ・全部屋の空調

どちらの設備も、放熱器を設置した部屋を中心に夏涼しく、冬暖かくなります。

床暖

 放熱器が設置された部屋の床・室内空間は暖かくなります。夏場は全部屋のドアを開放すれば、エアコンだけで涼しくなります。

エコウィン

 放熱器が設置された部屋は涼しくて暖かいです。エアコンは補助的な役割で風を対流するために微風運転します。放熱器の設置されていない部屋は、夏は暑く、冬は寒くなりやすいので、場合によっては各部屋にエアコンの設置が必要です。

暖まるまでの時間

床暖

 床下の放熱器本体を温めるのは30分くらいで出来ますが、問題は床下空間を暖めるのに時間が掛かります。平屋のような広い空間では特に時間がかかるので、1日以上かかる場合が多いです。床下が暖まっても、直接居室内が暖まるわけではないので、室内が暖めるには更に数日必要です。

エコウィン

 輻射式放熱器本体を30分程度で温める事ができる(40度~50度くらいの低温)ので、建物の気密断熱性能がよければ、1時間以内には放熱器を設置した室内を暖めることができます。

設置場所

床暖

 放熱器は床下空間のスペースのあるところであれば、どこでも設置ができます。冷房用エアコンはLDKに設置されるのが理想とされています。ただし、放熱器は後付ができないので注意しなくてはいけません。放熱器の長さが2メートルありますので、もし増設する場合は床を剥がす必要があります。

エコウィン

 LDKの中心に設置するほうが効率が良いので、リビングかダイニングに設置するのが基本となります。ただし輻射式放熱器の設置には、間取り次第では採用が難しくなります。

 エコウインの輻射式放熱器の種類は主に3種類あり、イシンホームではSCREEN(一番左側のアルミ枠仕様)のものを主に採用しています。他の2種類も希望すれば選べます。

出典:エコファクトリー

 このタイプの放熱器をLDKに設置する場合、L字型のお部屋が推奨されます。以下の間取りであれば、赤いところに設置するのが自然で理想です。インテリアとしても見栄えが良いです。

理想な間取り

過去に提案してもらった間取り

 一方で当家のような間取りですと、理想案の1か2の場所にしか設置することができず、設置しても狭く感じてしまいます。長方形な間取りだとなお圧迫感があります。

設置に適さない間取り

青だんごむし家の間取り

 イシンホームでは、真ん中のWALL(壁掛けタイプの放熱器)を採用することもできますが、この場合は放熱器の目の前に棚を設置できないデメリットがあります。

電気使用量(電気代)

床暖

 室外機の性能は4.0kWクラスのものになります。

 暖かい時期、寒い時期によって出力パワーが変わってくるため正確な消費量をお伝えできませんが、リモコンを50度設定で運転した場合、大体1.5~2.2kW前後の消費電力となります。24時間稼動すると40kWhくらい掛かります。

 シーズンはじめに電源を入れた場合、床下をしっかり温めないと室内が暖まらないので、しっかり暖まるまでの期間は設定温度を50度にしておく必要があります。

エコウィン

輻射式放熱器の種類によって、室外機の大きさが変わってきます。

SCREENで、0.7kW~1.5kWくらい(14畳~26畳の室外機に対応)
WALLで、0.5kW~1.2kWくらい(6畳~14畳の室外機に対応)
LOWBOYで、0.5kW~1.5kWくらい(6畳~26畳の室外機に対応)

製品の価格

 製品本体だけの価格になります。設置するための工事費は別途必要で、設置費は大体15万円~25万円くらいです。

床暖

14帖用エアコン1台と、床下放熱器が6台~8台設置された場合で60万円~75万円くらいです。
放熱器の台数は建物の大きさで変わり、2メートルの放熱器1台あたりの価格は7万円くらいです。

エコウィン

14帖用エアコン1台と、設置型の輻射放熱器1台が設置された場合で、45万円くらいです。

冷暖房設備が故障した時の対応

 どちらの製品も、本体価格が40万以上の製品になります。もし長期間使用して、故障してしまった時の事も考える必要があります。大体は2パターンになってきます。

修理して使用する

 故障したら修理するのが当たり前ですが、なにしろ製品な高額なため修理には相当な修理代が発生する場合があります。

 普通のシステムエアコンではないので、専門業者を手配する必要があります。修理を行う際に、特殊な場所に設置すると、余計な費用が発生する場合がありますので、修理しやすい場所に設置されたほうが無難です。

修理しないで放置する

 当家の場合は床暖を採用していますが、当初から故障した場合は放置する前提となっています。

 皆さんも床暖を使用していて、人によっては意外に電気代かかる場合などの使っていて不満に思うことがあるのではないでしょうか。こんな事があれば、きっと修理をしないはずです。

 特に床暖を放置する場合は、事前にエアコンの設置場所を考える必要があります。放置するということは、そのエアコンを取り外さないということなので、目立たないところに設置しなくてはいけません。

 目立ちやすいリビングに設置してしまうと、取り外しに費用も掛かるので設置は避けたいところです。故障したエアコンを目立つところに放置するのは衛生的にもよくありません。

 それを考慮して当家では、和室の収納棚の真上に設置しています。

 故障して使用しなくなったら、エアコンの手前に荷物を置いて、エアコン本体を見えなくする予定です。

まとめ

気密断熱性能が向上したイシンホームで、今からこの冷暖房設備を採用するのは当サイトではおすすめしません。

 しかし世帯の環境や住宅の間取りによって、どの冷暖房設備がピッタリなのか理解していただけたと思います。

 床暖は部屋が暖まるまで時間が掛かり電気代が掛かり、エコウインは放熱器を設置した部屋しか冷暖房ができない等のデメリットがあります。それを踏まえた上で検討されるのがよろしいかと思います。

 また床暖房については、当サイトで検証しているとおり、1階述べ床面積の広い住宅(特に24坪以上の平屋)には採用されないことをアドバイスしております。当家の28坪平屋で6台の放熱器では、全然暖房パワーが足りないので、電気代が掛かるわりに全然暖かくならないというのが実情です。

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