青だんごむし家では、床下に暖房設備を取り入れています。
イシンホームの床暖房は、各部屋の床下に放熱器を1台ずつ設置して、床下空間を温めながら輻射熱で床を暖めながら暖気を床のガラリから室内に取り込んで家全体を温める暖房方式となっています。いわゆる床下暖房です。
この記事では、床下暖房を更に快適にできるようDIYを行って対策した事についてお伝えします。
床下エアコン風を考案したキッカケ
他社の床暖房でもいえることですが、この世の中、電気代の高騰で電気代の掛かる床暖房を24時間のつけっぱなしにする事を、抵抗ある方も多いのではないかと思います。
そこでイシンホームの場合は、床ガラリがあることで床下エアコンに近づける環境の構築が可能ではないかと考えました。
床下エアコンと床下エアコン風のイメージ
床下エアコンと床下エアコン風のイメージを比較してみます。
床下エアコンの仕組み
床下エアコンは、床付近に溜まった冷気を床付近に設置した1つのエアコンに吸気され、熱交換をしてエアコン吹き出し口から暖風を放出します。
床下エアコン風の仕組み
イシンホームの床暖は、床に溜まった冷気を1箇所のガラリから床下に吸気して、各部屋の床下に設置した放熱器で熱交換して暖風を放出します。
そこで床のガラリにファンを取り付けて、ガラリから暖風が吹き出すような使い方をします。
床下エアコンの効率を上げる設備の提案
澄家を取り扱いしている換気システムメーカーのマーベックスでは、床下エアコンの効率を高めるための設備、室内吸気ファン「LaLaFan S」の商品開発をしています。
通常のエアコンで吹き出すことができる最大風量は800㎥/hくらいです。こんな時に、最大風量220㎥/hまで室内に吸気できる床下エアコン用のファン「LaLafan」を使用すれば、各部屋に1台設置する前提で最大4部屋まで床下エアコンによる室内温度に効果を発揮することができます。
最初はこの設備を当家に導入すれば、簡単に床下エアコンと同等のことがイシンホームでも実現できるのではないかと考えました。
しかし工務店から連絡で、マーベックスではイシンホームが採用している床下設置型の放熱器と、LaLa Fan Sの組み合わせでは、効果の保証はできないとの報告をいただきました。
床下エアコン風に仕立て上げる為の秘策
効果の保証はできないけれど、1台あたり施工費込み6万円で導入することができるとご連絡はありました。しかし直接床に穴を開ける工程もあり、効果を十分に発揮できない失敗のリスクがあります。
こうなると、リスクを抑える意味でもこれに代わる製品を探し自分でDIYを行うしか手段はありません。
自分でDIYしてみた結果、正直LaLaFanは要らないと判断できましたので、イシンホームの床暖を使っている人で、部屋の暖まり具合がよくない方には、是非参考にしていただきたいです。
床下エアコン風を行うには、2つの工程が必要
床下エアコン風を実現するためには、以下の工程が必要です。この工程を実施することで、効率よく暖風を室内に送り込むことができます。
- 床のガラリ付近に放熱器を設置すること
- 部屋の空気をどこかのガラリに1箇所に送り込むこと
部屋内の放熱器を設置場所
当家の放熱器の位置は、このようになっています。
入居前に設置されていた放熱器の位置は、部屋の真ん中か、部屋のドア出入り口付近に設置されていました。しかしこの状態では、温かい風が室内に取り入れるまでには時間が掛かるのでガラリから出てくる頃には冷めてしまいます。
入居後に、ダイニングと主寝室にある放熱器はガラリ付近に移動することにしました。
部屋の空気を床下に送り込む場所
床下エアコンは、エアコン内部の熱交換器で温度を温めてから吹き出して床下を温めますが、床下空間が指定した温度になるまでは、エアコンから大風量の温風がでます。
イシンホームでは、各部屋の床下に直接熱交換器(放熱器)が設置されているので、どこかのガラリから室内空間の冷えた空気を取り入れる必要があります。
効率よく全部の部屋に空気を行き渡らせるには、建物の中心付近のガラリから室内の空気を取り入れたほうが良いです。
当家では、廊下のガラリから床下に吸気を行い、主寝室のガラリから室内に吸気、リビングのガラリから室内に吸気を行うシステムを作りました。
LaLa fan Sの代わりにパソコン用の排気ファンを施工
青だんごむしは、過去に自作パソコン製作経験があります。そこで思いついたのが、ガラリの下に小型のファンを取り付ける方法です。
パソコンケース内の空調って、大体8cmや12cmタイプのファンを使用されますが、モノによっては結構風量がでます。
ガラリのサイズを測ってみると、タテ78cm×ヨコ14cmくらいあります。
つまり12cmのファンを5個つければ、ガラリから大風量を送り込めるのではと考えました。
それでアマゾンで探した結果、これが良いと思って購入しました。
ファンの風量をダイヤル式リモコンで、細かく調整できるのが良いです!
5連タイプのファンがなかったので、廊下用・リビング用・主寝室用に、4連のものを3セット買いました。
1セット7,099円で、21,000円くらい掛かりました。
ファンの厚さは24mmのものと38mmのものがありますが、厚いほうが風量が大きいので38mmを選びました。
そして肝心の風量ですが、4つで464CFMです。
単位が分からないので、フローの単位を変換できるJEIN(外部サイト)で調べてみたところ、最大788㎥/hの風を送り込む事ができるようです。
そもそもこのファンは、サーバー冷却用に設計された製品なので、24時間稼動しても大丈夫です。
寿命も50,000時間なので、24時間連続稼動で5年半は動いてくれるので頻繁に故障することはなさそうです。
4連ファンの組み立て
箱を開封すると2連のファンが2つあります。
付属品は2連ファンが2つ、風量調整コントローラー、接続ケーブル類、4連固定金具、ネジ類です。
ガラリに施工する前に動作確認を行いましょう。付属の分岐ケーブルでファンを繋いで、コンセントに挿してリモコンのダイヤルを右に回して通電を確認します。異音がしなければ問題ありません。
動作確認後は、4連ファンにするため付属の金具を使って固定します。左右の金具を見て留め方を確認してください。
ファンをガラリに装着する方法
廊下のガラリで説明します。
まずガラリを取り外します。写真の赤丸のところにネジがあり8箇所止められているので、ドライバーではずします。ネジをはずしたら真上方向に持ち上げることで簡単に外せます。(画像は別箇所のガラリを参考)
ファンを設置する時は、ラベルのある方が排気になります。床下に取り込む場合はラベルを上向きにして、室内に取り込む場合はラベルを下向きにします。今回はラベルを上向きにします。
ガラリとファンの固定には、針金を使用します。細い紐でも構いません。4点の角に穴が空いているので、針金を通し2重にしてファンが動かないようしっかり固定しましょう。
ついでなので、風量を調整するリモコンコントローラーの固定も一緒にしておきましょう。2箇所の角の余った針金を、リモコンのケーブルに巻きつけておけば大丈夫です。
リモコンを内部に固定しておくことで、風量を調整するときに蓋を外す面倒くささはあるものの、ガラリのまわりがスッキリするので見栄えははるかに良くなります。
あとはカバーを装着すれば元通りです。この時に電源コードは、網の隙間に通してカバーの爪の隙間に挟むようにしてください。
リビングのガラリから室内に吸気
上の廊下と同じ要領で施工しますが、リビングのガラリ下には土台の柱があるので、柱を避けて施工します。この場合、4連では施工ができないので、2連ずつ分けて設置します。
まずメジャーで、2連がスペースに収まるか確認します。2連のサイズは24cmです。左側がギリギリはまる感じです。
このように位置を調整しながら針金で固定します。一番右側にスペースがあるので、そこにコントローラーを設置しました。
完成したものがこちらです。
主寝室のガラリから室内に吸気
主寝室のガラリ下にも右側に柱がありますが、メジャーで計ると4連で設置できそうです。
このように施工しました。コントローラーは設置するスペースがないので、電源コードに直接取り付けました。
完成した状態です。コントローラーが外部にあるので、見栄えが悪いですがカバーを開けずに風量調整ができるので便利ではあります。調整する頻度が高いなら、最初から内部に格納しないほうが良いかもしれないです。
ファンを導入して改善されたこと
本来導入を希望していたマーベックス社のLaLafanSの変わりに導入した4連ファンですが、マーベックス製品のおよそ3.5倍の風量があるので、家全体の空気を動かすことに成功しました。
成功を確認できるものの一つとして、当家で使用している超音波式加湿器での加湿が、従来は床下の湿度が居室内よりも低い状態(湿度:6g/㎥)だったものが、居室と同じ湿度(10.5g/㎥)まで上昇するようになりました。
ファンの最大風量が強いので効果バツグン
対策したことで改善できたことについて、最大風量にしなくても風の移動ができていることを確認しています。それなら最大風量にすると、どれくらいのパワーに値するのか改めて確認してみることにしました。
風量の威力については、最大風量でこちらの動画を観てわかるように、カーテンレール付近までティッシュが揺れているので、高さが180cm以上まで届く性能があります。
実際には半分の風量でも同じくらいの高さまで風を感じるので、相当な風量です。
動作音については高音のように聞こえますが、実際はそんなに煩くありません。動画の検証では最大風量にしていますが、普段は半分か1/3くらいの風量で稼動するので、そんなに気になるような音量にはなりません。
床下エアコン風システム導入後の室温変化
床下暖房の設定温度は40度で5日間稼動して検証を行いました。ファンを施工する前(2日目)の12時から24時間の室温と、施工後(4日目)の12時から24時間の室温を確認します。
これまで主寝室は扉を開けていないと、室温が下がりやすい状態でしたのでドア開放していましたが、今回は効果を検証するためにの22時~朝6時まではドアを閉めるようにしました。
対象の測定場所は、屋外、床下、リビング、主寝室の4ヶ所です。
床下エアコン風システム施工前
床下エアコン風システム施工後
施工前よりも施工後の日のほうが外気温が低いにも関わらず、主寝室の室温はリビングの室温よりも高くなりました。
施工前の24時間の主寝室室温は20.9度~22.4度で、最も寒い屋外6.1度の時は21度です。
施工後の24時間の主寝室室温は22.1度~24.3度で、最も寒い屋外1.7度の時は22.5度です。
1日を通して、施工後のほうが室温が最低でも22度以上をキープしているので、床下エアコン風の効果は実証できました。ただし、床暖の電源をOFFにすると室温はゆっくり下がっていきます。
さいごに・・・
今回、このファンを設置したことで床下エアコン風システムの効果が大幅に上がった事が分かりました。LaLaFanSを1箇所導入するなら6万円しますが、この方法なら1箇所7000円くらいで導入できます。
ただ、当家の場合はイシンホームの標準仕様よりも、断熱性能で窓を2重窓、玄関ドアを高断熱タイプにしているので、2021年までにイシンホームで建てられた建物よりも断熱性能が良くなっています。
同じ方法で必ずしも室温が改善されるとは保証できませんが、特に平屋住宅で暖まりが良くないと思われている施主の皆さんには、是非試していただきたいです。
イシンホームの床暖は、平屋よりも2階建て住宅のほうが1階の床面積が少ないので暖まりやすいです。イシンホームで床下暖房を採用していて一部の部屋が寒いと思っている方々に参考になれば幸いです。
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